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情動 ~ラカンとビオン~

十川幸司氏の発言より

・・・次に、現代の精神分析において情動がどのように考えられているかという点について、ラカンとビオンという2人の分析家で見てみましょう。まずラカンについて言えば、ラカンの理論においては、情動と感情が混乱した形で論じられています。そして基本的にラカンが扱っているのは感情の問題で、情動に関しては彼は不安しか取り扱っていません。不安は人間を騙さない、ゆえに不安こそが分析治療の指針になると、ラカンは考えています。ラカンにとって人間とは、不安という情動と言語とによって規定された生き物ということになります。一方ビオンは、乳児と母親、患者と分析家の関係をパラレルに考えています。このモデルは非常に素朴で、この2つの間には当然ギャップがあります。子どもの経験と大人の経験を同じ水準で考えていいわけではないのですが、この構想自体は非常に優れたモノだと言えます。つまり不快を自分の中で処理していくような過程、現実の痛みをそのまま受け入れる力こそ思考の力だと、ビオンは考えるわけです。(2007金沢工業大学)


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