SSブログ

狼男より [メモ]


狼男 全集14 P7より


 ここで問題にする患者は、従順な無関心の態度の陰に立てこもり、長い間手の施しようがなかった。彼は耳を傾け理解を示したが、なにものも寄せ付けなかった。彼の申し分のない知性は欲動の力からは分断されているかのようだったが、この欲動の力が、彼に残された僅かの生活分野で彼の挙動を支配していた。分析の作業に自立した関与をもつようにし向けるには、長いこと教え諭さなければならなかったし、この努力の甲斐あって解放の芽生えが現れても、彼はすぐさま作業を中止し、続く変化を防止して元の情況に舞い戻ってぬくぬくとしていた。自立した生存に対する彼の忌避は断固としたもので、そのためには病気であることのあらゆる苦難を厭わなかった。それを克服する方法はただ一つだけだった。私(引用者註、フロイトのこと)という人物への拘束が強固となって、自立の忌避に釣り合うようになるまで、私は待たねばならなかった。




nice!(0)  コメント(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。